思考の持久力

”女性がたくさん入っている理事会は時間がかかるー”という2021年の東京オリンピックの評議員会で委員会の会長がこの発言をしたという、冒頭から始まります。

何となくこんな発言した人がいて、他にも政治家の方が差別的な発言をして叩かれて辞任していたなと思い出される内容ですね。なぜそのような失言をしてしまうのだろうか?という問いからスタートします。

結論から言うと当事者の方々は思考停止状態のままで過ごしていたからだそうです。昨今の常識として女性差別やハラスメントとして受け取られる発言や言動は慎まなければならない、と世界的になってきていると思います。

ですのでジャニーズの性加害問題においても日本のみならず、海外からのバッシングも大きくなっていましたよね。冒頭のような発言はおそらく20年くらい前であれば、まだそういう考えの人もいるくらいで済まされたかもしれませんがこの2024年においては完全にアウトとなる発言になっています。

今回の冒頭の発言者の方はそういった現代の常識をアップデートせずにいたことが原因で、このような事になったと作者の齋藤先生はおっしゃっています。

自分も何となくニュースや普段の生活の中でそういう発言や思想は危険だなと肌で感じていたので、問題にはなっていないと思いますが、先生のおっしゃるような常識のアップデートを意識的に行っていたかというとYesと言いきれません。

私も将来、歳を重ねて社会との関わりが薄くなったり認知機能が衰えればこのような失言が飛び出す可能性は大いにあり得ます。そうならないためにもこの”思考の持久力”を高めることで常に考えられる習慣を身につけておきたいです。

本書では思考をするにあたって、正しく考えるためのフォームを前半で紹介し、後半で実際にテーマを用いて考えてみるという実践的な内容になっています。

先生はこの考え続けることをジョギングで例えられていて、ずっと考え続ける(=走り続ける)ためには、正しいフォームを習得することが大切だとおっしゃられています。その正しいフォームに関しては4項目あり、①自分の考えをチェックする、②自分と異なる立場から考えてみる、③改めて自分の考えを見直してみる、最後に④物事の本質を考えてみるになります。

①〜③を通して自分の考えに偏り(バイアス)がないかをチェックしていきます。そして④でその問題の争点となる部分を考えていきます。

何かに対して意見を持っていて、それは自分の今までの経験や知識から直観的に判断したことになると思います。しかし反対の意見を持つ人もいてその人の立場から考えると、反対意見を言う人の理屈も分かると思います、そして改めて自分の意見はどっちなのかを再考すると偏った思考、意見を修正できると思います。

最後の本質を考える際には、教養が重要だと先生はおっしゃっています。先人達がすでにその問題について考えていたり、哲学の中でその問題を考えるのに役に立つ考え方を世に出していたりします。

その先人達の遺産を使って本質を考えると一人で考えていた時よりもスムースに思考ができるようになると言うことだそうです。

後半の実践編では文化の多様性についてや、守るべきは秩序か自由かなどのテーマを用いて思考していきます。ここからはいわゆるディベートのようなパートで、最終的に結論が出せないようなテーマを深く考えていくことになります。

ここで大事なのは結論を出すことではなく、その問題が現在どうなっているかを導き出せるかが大切だと思います。そしてそこから自分はどんな判断をするかと言うことだと思います。

現在は昔と異なり多種多様な人、生き方が尊重される時代になっています。すっと受け入れることが出来るもの、なかなか受け入れることができないものがこの先出てくると思います。

そんな中でこの思考を止めずにいることで、なかなか受け入れることができないものは何故受け入れられないのか、また受け入れることが出来るのは何故なのか考えることができます。

そういったことを繰り返していくと、この多様性が重んじらる社会でそれぞれを尊重することが出来る思考に近づいていくのではないかと思います。

昔はたくさん考える機会を意識して持つようにしていたのですが、最近はなるべく思考しないで済むようにしようとしていました。それではダメなんだなと改めて気づかせてくれた書籍でした。

皆様もぜひこの本を読んでいただき一緒に悩み考え続けられるようになっていけられると嬉しいです。

それでは最後までお読み頂きありがとうございました。Let’s Keep Walking!!

思考の持久力 齋藤孝 扶桑社

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